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『介護保険制度改革~その内容と影響を考える』

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2000年4月にスタートした介護保険制度ですが、制度施行後、初の大幅見直しとな

る改正介護保険法が6月22日に可決。2006年4月に施行されることになりました。

すでに一部の改正は今年の10月1日から実施されています。今回の見直しはどんな

狙いがあるのか、制度の背景を踏まえた上で、改正介護保険法の内容とその影響

を考えてみたいと思います。



介護保険給付費がスタート時の2倍に!
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 制度改正の背景になっているのは、高齢化に伴う介護保険給付費の増大です。

介護保険制度は施行から5年を経て、国民のシニアライフを支える制度の一つとし

て定着してきました。しかし、ここから給付される費用は毎年増え続け、2005年

度にはスタート時の約2倍に相当する7兆円に達する勢いとなっています。介護保

険制度は保険料と税金によって支えられていますが、このままでは2006年4月から

介護保険料を全国平均で月額1000円程度上げなければいけないほどの状態に陥っ

ており、制度の持続性を高めるために給付費を抑制して保険料の高騰を防ぐとい

う今回の見直しが行われることになりました。

具体的には、次に挙げる5つの柱を打ち出しています。
(詳細は厚生労働省のサイト参照
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1222-3.html)

1.予防重視型システムへの転換(2006年4月施行)
2.施設給付の見直し(2005年10月施行)
3.新たなサービス体系の確立(2006年4月施行)
4.サービスの質の向上(2006年4月施行)
5.負担のあり方・制度運営の見直し(2006年4月施行)

今回の見直しによって、保険給付費は年間3000億円程度減少し、保険料の上昇も

全国平均で月額200円程度に抑えられる見込みです。




介護保険施設の「居住費」「食費」が給付の対象外に(今年10月実施分)
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これまでの介護保険は、家賃や水道光熱費などを本人が負担する在宅介護に対し

て、施設入所者は食材料費を除いて保険給付の対象になっている(グループホー

ムやケアハウスを除く)という不公平な状態でした。今回の見直しでは、同じ要

介護状態であれば給付と負担が公平になるように、「居住」や「食事」に要する

以下の費用は保険給付の対象外にしています。

・介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)に
おける「居住費」「食費」
・ショートステイ(短期入所生活介護等)における「滞在費」「食費」
・デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション)における
「食費」

自己負担となる居住費・食費の具体的な金額は、利用者と施設との契約によって

定められまずが、平均的な費用(基準費用額)は次の通りです。

・相部屋・・・日額320円
・従来型個室・・・日額1,150円(特養など)、日額1,640円(老健・療養など)
・ユニット型準個室・・・日額1,640円
・ユニット型個室・・・日額1,970円


所得の低い人については、これらの費用負担が重くなりすぎないように3段階の限

度額を設定し、差額を保険給付で補う仕組みになっています。たとえば、ユニッ

ト型個室(基準費用日額1,970円)利用者であれば、第1段階および第2段階に該

当する人は日額820円、第3段階に当てはまる人は日額1,640円が限度となります。

所得の低い層に対する施策はそのほかにも用意されていて、「高額介護サービス

費の負担限度額の引き下げ」「社会福祉法人による利用者負担軽減制度の対象者

の年収要件の引き上げ」「利用料を支払った場合に生活保護の適用となる場合の

負担軽減」などが2006年4月から施行される予定です。



2006年4月改正の目玉は「予防重視型システム」
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予防重視型システムとは筋力トレーニングや栄養改善指導など、これまでの訪問

介護やデイサービスのメニューを予防型に切り替えたものです。寝たきりや痴呆

状態になることをできるかぎり防ぐこと、要介護状態になってもこれ以上悪化し

ないようにすることが狙いとなっています。

具体的には、軽度の要介護者(予防給付の適切な利用が見込まれない状態の人を

除いた「要支援」または「要介護1」の人)を対象に創設される「新予防給付」

と、要支援・要介護状態になる前の人(高齢者人口の5%程度)を対象にした

「地域支援事業」との2本立てで、高齢者の自立支援を行います。

予防給付は無理強いさせるものではありません。しかし、介護予防の運動トレー

ニングは手遅れとなるような年齢・機能レベルなどは一切なく、もともと体力の

ない人ほど効果が高いという研究結果も出ているというから、利用価値は高そう

です。